運び屋?

2004年1月17日
池澤夏樹の「花を運ぶ妹」を昨晩から読み始める。
バリ島を舞台にしたとても美しい話なのだけれど、この小説によって昨年来の私の危惧がどうやら杞憂では無いことが、確認された。

昨年私は休暇でバリに行った。
で、そこで「運び屋」をやらされたのだ。
担当の旅行会社の人だったし、食事をご馳走になった後で、おもむろに頼まれたので断れなかった。
中身は日本に送る写真で、もう間に合わないから日本で、日本のポストに投函してくれる?と言われたのだった。
そして、彼女は、
「大丈夫。渡辺さんの目の前に梱包してあげるから」
と、言ったはずだった。

だけど、帰国当日渡されたのは、すでに梱包済みのパッケージ。
一瞬だまされた!と思ったのだけれど、ただでさえ私は人から神経質すぎると言われているので、こんな事で断ったりするのは、大人気ないのでは?との感も捨てきれなかった。
で、結局、運んで、自宅近くのポストから投函。
何事も起らなかった。
彼女からは、いずれ、お礼の海産物だかを送るとのメールが来たけれど、、結局何もないままだ。

で、この話はこれで終わったのだけれど、何か心の片隅に引っかかっていた。
もしかしたら、麻薬とかだったかもしれない。
そして、万が一、出国前に発覚したら、私は何かとんでもない事になったのでは?と。

それが、この小説で明らかになった。
主人公の一人は、バリ島でヘロイン所持で捕まるのだけれど、何と死刑の可能性があるのだ。
まだ途中までしか読んでないからわからないのだけれど、どうやらインドネシアは麻薬に対してひどく厳しいらしい。
今、何とか、死刑を免れて、終身刑?とかに減刑するべく回りの人たちが動き始めるところまで読んでいるのだけれど。

私はとてもショックを受けた。
こういうふうに、世の中には色んな危険が待ち構えていて、何か予想外の出来事に直面した時に、私は瞬間自分自身がフリーズしてしまう。
どうしていいのかよく分からないのだ。
人一倍臆病で慎重な私はどうにかこうにか、今まで切り抜けて来たけれど、思い出すだけで、今でも心臓がドキドキするような過去体験がたくさんある。
そして、生きていくということは、こういうこととヤリクリしていかなければならないことなのだ。
稀にはこういうアクシデントを楽しむ人だっているというのに。
でも、私は、耐えられそうにない。

コメント