川端康成を読み始めた。

考えてみれば、私が何故、若い頃、川端康成だとか谷崎潤一郎だとかを読まなかったかというと、それは彼らが長生きをしたからだと思う。
川端のほうは、私が子供の頃まだ生きていて、その歳を取った姿に記憶があるし、谷崎だって、晩年の写真が雑誌などにしょっちゅう載っていたはずだ。
目につくのは、晩年に書かれた作品ばかりで、何か面白みにかけるように思えた。

一方、読んだ作家は、梶井基次郎だとか中原中也だとか宮沢賢治だとか、ようするに早逝した人達ばかりだ。
若者特有の、そのナイーブな感性を尊んだわけで、でも川端康成とかだって、当然若い時代はあったわけで、今思えば、もっと若い頃にそういう初期の作品を読んでおくべきだったと悔やまれる。

老成して傑作を作り出せるのは、画家ぐらいなもの、というのが私の持論。
小説家でも漫画家でも、歌をつくる人でも、若い頃の作品のほうがずっといい。
歳を取ると、テクニックは上手くなるけれど、でも何かが失われていると思う。
世間の評価だけは、高くなるけれど。

あっ。
でも詩人も別かな。
自由詩でも和歌でも俳句でも、およそ詩人に年齢は関係ないという気も。
違う?

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