風の十二方位(オメラスから歩み去る人々)
2004年4月26日 読書 コメント (3)
ISBN:4150103992 文庫 Ursula K. Le Guin 早川書房 1980/07 ¥840
この世のどこかにオメラスという町があって、そこは豊かで平和で美しいところで、聡明な人々が暮らしている。
でも、町の中心の市庁舎の地下には牢があって、小さな男の子が一人、鎖に繋がれ、飢えて、閉じ込められている。
そう。
この町の幸せは、すべてこの男の子の犠牲のもとに成り立っているのだ。
けれど、これはいわば運命のようなもので、誰にもそれを変えることは出来ない。
男の子を解放して、その代わり町が不幸になるとか、そういう選択肢は無い。
未来永劫、この男の子の不幸は続く。
それは運命なのだ。
で、人々は諦める。
心を痛めながらも、男の子のことは忘れ去り、口には出さないよう、心がける。
でも、それでも中には、どうしてもそれが出来ない人々がいる。
そして、こういう人達が、年に数人ぐらいだろうか、豊かなオメラスを捨てて、外に出て行くのだ。
危険な荒野へ。
ル・グィンの「オメラスから歩み去る人々」(?)は、確かこういうお話だったと思う。
で、私達はいわば「オメラス」に暮らしている人々だと思う。
私達の幸せは、やはり犠牲のもとに成り立っているのだけれど、私達にはどうすることも出来ない。
でも、果たして本当にそうなのだろうか?
危険を顧みず、自国の政府に迷惑をかけたと非難されようと、何かに駆り立てられて、飛び込んでいく人々を私は「naive」とは思えない。
この世のどこかにオメラスという町があって、そこは豊かで平和で美しいところで、聡明な人々が暮らしている。
でも、町の中心の市庁舎の地下には牢があって、小さな男の子が一人、鎖に繋がれ、飢えて、閉じ込められている。
そう。
この町の幸せは、すべてこの男の子の犠牲のもとに成り立っているのだ。
けれど、これはいわば運命のようなもので、誰にもそれを変えることは出来ない。
男の子を解放して、その代わり町が不幸になるとか、そういう選択肢は無い。
未来永劫、この男の子の不幸は続く。
それは運命なのだ。
で、人々は諦める。
心を痛めながらも、男の子のことは忘れ去り、口には出さないよう、心がける。
でも、それでも中には、どうしてもそれが出来ない人々がいる。
そして、こういう人達が、年に数人ぐらいだろうか、豊かなオメラスを捨てて、外に出て行くのだ。
危険な荒野へ。
ル・グィンの「オメラスから歩み去る人々」(?)は、確かこういうお話だったと思う。
で、私達はいわば「オメラス」に暮らしている人々だと思う。
私達の幸せは、やはり犠牲のもとに成り立っているのだけれど、私達にはどうすることも出来ない。
でも、果たして本当にそうなのだろうか?
危険を顧みず、自国の政府に迷惑をかけたと非難されようと、何かに駆り立てられて、飛び込んでいく人々を私は「naive」とは思えない。
コメント
オメラスから歩み去る人々で検索して拝見しました。
NHKで放送中のハーバード白熱教室のまとめ本に、紹介されていました。
参考までに、
これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学 (単行本)
マイケル・サンデル著 早川書房
政治哲学の講義ですが、実例もまじえた面白い内容です。
興味がありましたらおすすめです。
私も昔に読んだ印象があり、懐かしい感じがしました。
かなり考えさせられる内容ですし、倉庫に積んであるハヤカワ文庫SFを探して読み返そうかと思います。
ハーバード白熱教室、今、ユーチューブで冒頭だけですがチェックしました。このような講義を見る機会を教えてくれて、どうもありがとうございます。
これからの「正義」の話をしようは、平易に書かれているようですね。読んでみたいと思います。
ル・グインの短編は非常に詩的で、また長編の中の一エピソードを拾い上げたようなものも多く、好きでした。若い頃に読むことが出来て幸せだと思います。
コメント、どうもありがとうございました。
同じDNつながり(^^)でもあるので
リンクらせていただきました。よろしく。
http
://85358.diarynote.jp/201411200823556148/