12月16日の日記

2006年12月16日
昨日は東京の家に泊まる。

表を掃いていたら、隣家のIさんが通りかかった。
お茶のお稽古の帰りとのこと。
「わたくし、幾つに見えます?」と、毎度お馴染みの質問なのだけれど、この日もまた、聞かれる。
八十台後半ぐらいだったかな。
ちょっと考える。

「この十二月で90になりますのよ。」
うーん
血色は良いし、こうして出歩きもするし、お掃除も洗濯も何でも、ちゃんと一人でやっているという所は、確かに凄いかも。

ケチで恥ずかしがり屋、そのくせお公家さん体質で、やんわりとした口調で他人を使うのが上手、と、祖母や母には不人気だったIさんだったけれど、でも私は、いいな、と思っていた点が結構あった。

モノを大切に使う。
生理整頓が好き。
綺麗好き。

さすがにもう無いとは思うけれど、戦前からのガスストーブを使っていたり、月下美人の花が咲くからといって、夜半に私達を招待してくれたり。
そういった暮らし方は、私は嫌いではなかった。

90になっても、少女じみていて、何だか楽しそうで幸せそう。
第一、ふんわりと良い香りがしていた。フレグランスだろうか?

「今度、是非是非お茶を飲みにいらしてね。古くからのお宅がみんな無くなって、わたくし寂しくて。」
夕飯時で無かったら、今すぐにでも呼びたいぐらいに、かなり熱心に誘われた。
春になったら、呼ばれてみようかな。

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