海神別荘

2009年7月13日 日常
金曜日、ふらりと幕見で見てきた。
40分ぐらい前に並んだのだけれど、余裕で座れた。

沖の僧都役の人に、台詞のつまりがあり、ちょっと舞台にのめりこみにくかったのだけれど、実は本来の人が急病の為の代役とのこと。そういえば、そんなアナウンスをしていたな、と後で気が付いた。
朝日の夕刊で誉めていたのは、確かこの役の本来の役者さんだったから、ちょっと残念。

たった一幕の、セットもシンプルなら音楽もハープ一台という、すごくお金がかかっていなさそうなお芝居で、これなら歌舞伎らしくない少々実験的なものでも、やれるのだろう。

私は、歌舞伎は全然知らないけれど、野田秀樹のものだとか、シェークスピアだとか、結構いろいろやっていると思う。

玉三郎は、中性的なイメージだから、どうしても派手好みの感じがあるけれど(三輪明宏的な)、この人は、以前、好きな画家を聞かれて、ターナーと答えていて、あれ?と思ったことがある。
今回の音楽も、ドビュッシー風で、ゆらゆらときれいな感じ。このあたりの彼のイメージとのアンバランスさが、もしかしたら、更なる飛躍の妨げになっているのかも。
て、私のような素人には分りません。

それにしても、私は、やっぱりお芝居より映画がいい。
映画なら、登場人物の眼差しひとつ、手のアップひとつで伝えられることが、お芝居なら饒舌に台詞で語らなければならない。
ラスト、手討ちになる直前、美女が公子に心を通わせるシーンがあるのだけれど、これなんか、感動の場面なのに、笑いがもれていた。
映画なら、そうならないだろうと思う。

海神別荘は、波津彬子の漫画が一番良いかな。
この人の絵は、鏡花にぴったり。

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