今時のオタクが「欲しいものに対しては金を惜しまず」といった尊大な態度を保持していることが、わたしとしてはまことに苦々しい(オタクと書いたが、それを若者と書き直してもそれほど事態は違ってこない筈である)。そんな方法論では真の充実感には至らないだろう。オタクであること以外に主張すべきものなど何もないつまらぬ連中が、辛さや情けなさや悔しさを託しつつ世間一般では無価値とされるものにあえて価値や意義を見出していくという行為であれば、それは分かる。そこにささやかな充実感を見つけ出そうとする態度は、私の心性に繋がるものである。
ただしそうした方向へのレールが既に敷かれ、オタクという行動にある種の後ろめたさや羞恥心を覚えることのないまま、口先だけの自己欺瞞で盛り上がりつつ金を惜しまぬその「つましさや自分の醜さを忘れた」態度が気に食わない。居直ることよりももっと安易な態度でとりあえず頭の中を躁モードに切り換えておこうといった発想が、気に食わない。


作者は春日武彦という精神科医。不勉強なもので名前を知らなかった。
多くの著作があり、どれも非常に切れ味が鋭いように思える。

上記のオタク考だけれど、どうなのだろう。
世の中というのは、何もかもがみな、そうなのではないか?
はじめは一部の人だけの物だった、物なり概念なりが、人気が出ると大衆化する。形骸化する。
オタクという概念もそうなのだろう。
世の中と相容れ難い人は、取りあえずオタクという概念をまとうと生き易いし免罪符でもあるのではないか。

本当のオタクはだからもうオタクというフィールドからいなくなっているように思う。
じゃあどこに行っているのかな、と思うと、ちょっと分からないけど。

コメント

nophoto
藻湖
2014年8月12日19:32

お久しぶりです。こんにちは。実は私にしても、そのオタクみたいな精神構造にいつの間にかはまっているというのは、あるような気がします。例えば映画オタクならとりあえずたくさん観ることで武装するとか。オタクではないけど、趣味と言うなら、とにかく量をこなさないといけない、という脅迫観念があるかも…と、思ってしまいました。
ところで、まだまだ暑い日が続くようですが、体に気をつけて乗りきって下さい☆

椿美
2014年8月13日10:11

藻湖さん!お久しぶりです☆お元気でしたか?

量をこなすと確かに強いかなと思います。量をこなした人が更に集団になると無敵というか。そうなるともうオタクならではの後ろめたさなんていうのは無くなるかも。

藻湖さんも暑さお見舞い申し上げます。
またこれからも是非コメント頂けたら、と思います☆