そのとき義経少しも騒がず~船弁慶
大手町にて。

前半で風間杜夫さんのひとり語り。
後半が能だった。
両方とも主題は船弁慶。

日本の芸能に疎い私だけれど、船弁慶は割と好き。
壇ノ浦に沈んだ平知盛の怨霊が大暴れするお話で、海、ホラー、涼しいといった感じで夏向きなのだろうか?

風間杜夫さんは最近は落語もなさるそうなので、かなり期待して見に行った。

けれど残念ながら風間さんは風邪気味。微妙に元気がなく咳きこんだり。
それから脚本も本質的な部分が現代風になっていて、これもよくなかった。

能は楽しかった!

前半は静御前との別れ。
後半で怨霊登場。
船頭と世間話をしている間になあんとなく雲行きが怪しくなり、前方から平家の怨霊が現れるという感じもいい。
そして怨霊は長刀(なぎなた)をふるって大暴れ。
暴れるシーンはたっぷりあります。

そんな中で義経は涼しい顔。
~ そのとき義経少しも騒がず ~ という謡が入って、怨霊と軽く一戦交えてといった感じ。弁慶はといえば数珠をくって祈っています。

怨霊は興奮状態なのだけれど、その相手と熱く戦うのでもなく、また弁慶と共に戦うのでもなく、というのもいい。

あ。あと、この義経、子方(子役)なのですよね。小学校中学年ぐらいの男の子。それも面白い。

それから前シテの静御前と後シテの知盛が同じ役者です。
武田孝史という人で1954年生まれなのでもう60代。
静はともかく怨霊のほうは、ジャンプしてから正座みたいな動きもあって、ひざは大丈夫?と心配だったけれど、軽々とした動作。普段から動いている人は若いなぁ。

船頭役の三宅右近という人は1941年生まれ。70代。すごく声に張りがありました。


この演目では怨霊は負け組。義経は勝ち組です。
でも、すでに兄の頼朝との不和が始まっていて、とりあえず九州に向かい時節を待とうという設定です。そのうち頼朝も許してくれるだろう、みたいな感じで、まだ悲壮感もないのだけれど、当然私たちはその先の物語を知っているわけで。

この船弁慶はわりと大衆向けの演目みたいですが、私は好きです。

http://www.nohgaku.or.jp/playinginfo/info.html?id=1603

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