短編が3つ収められているけれど、特に樹影譚は良かった。
良かったというより何だろう? アマゾンでの誰かの書評にあったように、「この人には本当にかなわないな」と思わせられる才気が匂い立つような作品。
頭の回転が速くてセンスがよくて洒脱で楽しい人。人生を軽々と渡ることが出来る人。丸谷才一にはそういうイメージがある。
誰もこの人にはかなわない。

樹影譚だけれど、物語の中に物語があり、その中にそのまた物語があるという構造。相当テクニックがないと出来ない芸当。そこでさらりと語られる物語の数々が全部面白いのだからまいる。小さな小さな細工物の小さな小さな部分でさえも、すべて精巧に作られているような感じ。

丸谷才一は村上春樹の才能をいち早く見出した人だそう。
なるほど。この軽さは日本的でないよね、日本的でないというのが共通点かな、と思う。

この樹影譚だけれど、60代の時の作品。これもすごい。

コメント

moco
moco
2015年12月4日19:33

名前は知っていたんですが、そんなに素晴らしい人とは知りませんでした。
是非読みたいです!!それにしても村上春樹に早くから目をつけていたと言うところがポイント高いですね。実は今村上春樹の雑文集を読んでいるところなんですが、どこが面白いところなのか説明がつかないんだけれど、すいすいと、面白く読めます☆

椿美
2015年12月5日19:09

丸谷才一は以前「輝く日の宮」という作品を読んだだけで、樹影譚が2作目です。輝く日の宮もすごく面白かったですよ。こちらのほうがおすすめかも。アマゾンのレビューを見ると、「笹まくら」というのが大絶賛なので、そのうち読もうと思います。

村上春樹の雑文集ですか☆ 軽いエッセーは昔よく読みました。村上春樹は大昔に私の家の近くに住んでいたことがあって、その頃書かれたエッセーを読むと近所のスーパーなどが出てきて輪をかけて面白かったです☆

moco
moco
2015年12月5日22:00

早速アマゾンに 丸谷才一の本を注文しましたよ〜。とても楽しみです☆
そうですか、村上春樹と近所だったとは凄いですね。自分の利用するスーパーが村上春樹の視点で書かれてあるなんて、なんか羨ましいです!

椿美
2015年12月5日22:52

おお!そうですか☆お気に召すと良いですね。村上春樹は引越好きであちこち暮らした経験があるみたいです。