おとといの夜。E駅からバスに乗った。

斜め前の2人がけの席に、女性が2人座っている。
30代ぐらいの色白の人と60ぐらいの人。

二人とも髪はひっつめて後ろで無造作にしばり、そして同じく無造作な恰好をしている。
無造作としかいいようがない。清潔な髪。清潔な服。きちんと着てはいるけれど、何だろう。施設の子供が施設のルールに従って、服装を整えている感じ。
この2人は、お互いに喋らない。前を向いて無表情。

母娘? でも喋らないし。
それに何かが変な二人。
服装とかだけでなく。

あ。しばらくして気が付いた。
座席前の金属の手すりに、S字フックをぶら下げている!
それぞれに一つずつ。
そしてそれぞれが花柄のバッグをそれに丁寧にかけている。

S停留所で降りて行ったのだけれど、この停留所は乗車したE駅からわずか2つ目。
うーん。たった2つなのにS字フックをかけるかな。お母さんふうなほうが娘ふうのフックも回収して、丁寧に自分のバッグにしまっていた。
手すりには男性がひとり寄りかかっていて、当然その男性の腰あたりを少し触るような感じで回収していたし。

そして降りるとき、この2人、ものすごいスピードで降りていた。
たたたっって感じ。
降りてからも、たったったった歩いていた。走ってはいない。歩いているのだけれど、猛スピード。
無表情。手は繋いでいないけれど、ピッタリ寄り添って早歩きしている。

なんか妙な人達だった。
S字フックもバス旅行とかなら見かけるのだけれどね。


何か考えさせられた。
おそらくちゃんとちゃんと生きている人達なのだと思う。
そして二人だけで完結している感じ。

でも何かが変だから、職場で、学校で、ご近所づきあいで、色々嫌な目にあったりしていないだろうか。世の中が上手く回っている時はいいのだけれど、カリカリした環境では真っ先にスケープゴートになるというか、攻撃の対象にならないだろうか。


私もちょっと彼女たちふうなところがあるから。
気を付けないと、と思う。
どうすればいいのだろう。
幸せに、快適に暮らすのは。
私はその術を探している。
目立たず、決して悟られず。
でも自分だけの楽園を心に持つようにしたい。
そしてパラダイスを持っているということは、絶対に悟られないようにしなければ。ごくごく一部の人にしか分からない秘密の花園。

コメント

moco
moco
2017年6月4日21:38

たぶん、椿美さんと同じように考えている人が、一定数いるような気がします。それも意外と多い割合で。というか私自身、最近生きづらさを感じます。

椿美
2017年6月5日19:01

そうですね。一定数はいるような気がします。少数派ではあるけれど意外と多い割合かもしれませんね。私の生きづらさの根底にあるのは、世の中との乖離に由来しているような気がします。

BOTETO
2017年6月7日3:22

何年か前に、生き辛さに気が付かない人もいるって知ってしまいました。
良い意味で人はまわりに心配かけるけどそれなりに大丈夫、そうでない意味だとまわりは関わらなければ良かったと思うのではという自分の中の答えでした。
生きやすい人なんていないって、大島弓子の漫画の言葉みたいですが、そう思うんです。でも、そんなことすら考えない人もいるってことに気づいたのは衝撃でした。

椿美
2017年6月8日9:15

そうですね。気づかない人もいると思います。そして「かかわらなければ良かった」とまわりが思う人というのは、段々とフェイドアウトされていくのかもしれません。
私も時々今更ながら気が付いて衝撃を受けることが時々ありますが、この衝撃ポイントって、当たり前ですが人それぞれですよね・・・