1954年の作品。
テレビで放送されていた。

映画と並行して原作も読んだ。
ただし映画はながら見だし、原作は返却日に間に合わず最後まで読み終えられなかった。

原作と映画は別物。
原作では老境に入った主人公男性の老いに対する心境が”細かく”語られていて、それがメインテーマ。

映画の方はスポットライトは原節子に当たっていて、こちらがメイン。
老いに対する心境などは、ほぼ無いかも。


65年ぐらい前の作品。
”たった”65年前。
でも人々の生活は大きく変わった。
原節子演じる若いお嫁さんは、まるで女中のよう。
同居の舅姑にかしずき、夫にも仕える。
でもそれが当たり前だった。
今80代半ば過ぎぐらいの人達は、おそらく心の奥底にそういう時代の記憶が残っているかも、と思う。
だから歳を取り身の回りのことが出来なくなったから施設に入る、などというのは、理性では理解出来ても本能的には納得いかないかもしれない。

昔はお年よりは偉かった。
ちゃんと面倒をみてもらえた。



川端康成の作品は伊豆の踊子とこの山の音の2作品しか読んでいない。
踊り子のほうも一昔前はよく映画化されていて、アイドルっぽい女優さんとハンサムな男優がキャスティングされていた。淡い恋の物語風だったと思う。

でも原作は違う。
中二病をこじらせているみたいな暗~いエリート学生が主役。
いじいじいじいじしている。
踊り子の方はまだ子供。
少し大人になりかけみたいな年齢だけれど、まだ子供。
天真爛漫で明るい。
その明るさに主人公が救われて、みたいなところがある。

て。あ。
これ山の音と同じかも。
山の音も、細かいことにごちゃごちゃと悩んでいる主人公が、若く明るい嫁に癒される的なところがある。

川端康成のこの2作品。
両方とも主人公は作者の投影なのだろうけれど、歳を重ねても人間の気質というのは全然変わらないなぁと、ちょっと”嫌に”なった( 一一)
歳を取るにつれ、もうちょっと昇華されるというか、楽になるとか、そうならなかったのかな。

ところで川端康成。
百年後は読まれているかな。
読まれていないような気もするけれど、案外読まれている気もする。

コメント

moco
moco
2018年2月5日23:57

伊豆の踊子は前に読んだことがあるのですが、あまり踊り子に共感できなかったような覚えがぼんやりあります。時代が違うから、踊り子の言動に共感できないというのがあるのかもしれませんが、その割には、昔の小説でも、吾輩は猫であるの、くしゃみ先生の奥さんのように他愛のない夫婦喧嘩をする人には、親しみを感じるんですよ。それはともかく、川端康成の死因が自殺だったらしいので、やっぱり悩みの多い人生だったのかもしれません。

椿美
2018年2月7日15:38

川端康成の小説は心理描写が繊細というか細かいです。登場人物達の心理は、普遍性のあるものもあるし、その時代ならではのものもあるようで、現代から見るとちょっと違うような気もしたりするかも、です。
華やかな生涯だったと思うのですがでも結局いろいろ奥底ではあったのかなと思うと、ちょっと複雑な私なのでした☆